こないだ翻訳したザック・ロウ氏の記事が割と好評だったのでまたやってみました!今回は凄い選手になりそうでなかなかその一歩を踏み出せていない選手をロウ氏が分析しています。分析なので選手の悪い所を多数あげていますが決してバッシング記事ではありません、もっと高いレベルでのプレイが見たいよという期待を込めた記事ですのでお間違いなく!

またまた長文ですので、移動中とか昼休みとかトイレとか暇な時にどうぞー。例の如くスタッツは全て元記事執筆時の物です。

元記事はこちらです:
The young NBA players who are looking to make the leap to greatness | by Zach Lowe

NBA選手の個性は通常3, 4年目あたりから具体化してくるものだ。若い選手はコツを学び、ベテラン選手はもう去っているか年を取っているかで重要な役割の穴埋めが必要になってくる。ルーキー契約が終了に近づくにつれ選手、代理人、フロント、関わる人全てが注目し始める。

この為、多くのファンやフロント陣はA選手が3年目、4年目を迎えた時にそわそわし始めるのだ。この選手は殻を突き破るだろうか?どんな新しいスキルを見せてくれるのだろうか?

しかし全ての選手が同じ軌跡を辿る訳ではない。早い段階から活躍し始める選手もいれば(眉毛お大事に!)、遅い選手もいる。そしてしないまま終わる選手もいる。ここでは開花するのにファンの期待より少し時間のかかっている、2010年と2011年のドラフトから6選手ピックアップしてみた。

リッキー・ルビオ – ミネソタ・ティンバーウルヴス
いつかこれは矯正されるべき事だが、そろそろルビオのシュート力について真剣に分析する必要がある。ハネムーンはいつかは終わらなければならない。であれば今という事にしよう。ルビオは現在シュート率36.9%。そして3シーズンで3,700分出場しキャリアシュート率は36%だ。

一回ここで止めます。ルビオは優れた才能を持った選手で、素晴らしい子だ。色んな意味でバスケットの天才と言える。他の人には見えないようなパスが見えていて、彼が創造しない限り存在し得ないようなパスをする。コート上を自由自在にドリブルし回りパスの角度を魔法で作り出す。起点となるパスを出す事にとても長けている。ケビン・ラブをエルボーエリア(FTラインの両端辺り)でうまく仕事させるためにピック&ロールをある程度犠牲にするようなシステムでプレイしている。少ない数ながらもまともなスリーポイントシューターでもある、特に今シーズンは。ルーキーシーズンではシーズン途中にACLを断裂している。

全て悪い所をカバーするには充分な事だ。しかしそれでも彼のシュート力は問題だ。ルビオはNBAの近代史において最悪のシューターになるペースにいる。リーグ発足以来、5000分以上出場しながら38%以下のシュート率を記録した選手は61名いる。その内の59選手は1965年以前にキャリアをスタートしている。残りの2選手はエディー・グリッフィンとデイクワン・クックで、どちらも5000分ラインを少し越えた程度で終わっている。

ルビオのシュート力の無さはかなり影響があり、「ピック&ロールの際にシューターに張り付かなくていい」という当たり前の事以上に深刻だ。簡単に言うと、ルビオがボールを持っている時に相手チームをパスレーンを過剰に意識して良いのだ。例えばラブかニコラ・ペコヴィッチとのピック&ロールの際、ルビオをマークしているディフェンダーはルビオを必死に追いかけるのではなく、ルビオとラブ/ペコヴィッチの間をカバーするという事が出来る。ここではジャミーア・ネルソンがそれをしており、結果的にパニックっぽいパスからのターンオーバーにつながっている:

ルビオ

ルビオ

この写真でのニコラ・ヴーチェビッチの役割になる選手、要するにヘルプディフェンダーはルビオとピック&ロールをした選手よりに守備をする事でシュートされる事をあまり気にせずにパスレーンを塞ぐ事ができる。ここではティモフィー・モズゴフがそうしているのが伺える:

ルビオ

こちらの2プレイではルビオのディフェンダー、1つはアーロン・ブルックスでもう1つはアンドレ・ミラー教授、はルビオから大きく離れエントリーパスを防いでいる:

ルビオ

ルビオ

ルビオはペイント内でのシュート率が40%半ばと酷く、近場からのシュートでさえあまり打ちたがらない。ルビオがよくコートの反対からバスケットの下をくぐり反対側にドリブルしていく事には理由がある。良いパスレーンが見つけられず、シュートを打つのも躊躇しているためだ。

そしてルビオがボールを持っていない時も、彼のディフェンダーはレーンに飛び込み他の動きを潰す事が出来る。

もちろん総合的に見ればルビオはミネソタにとってプラスだ。特異な才能を持ったパサーで、守備でも足の運びが美しくチャージを貰いに行ったりギャンブルせずにスティールをする事が出来る。ほとんどの選手が通す事ができない様な隙間でもパスを通せてしまう位上手い。しかしルビオとウルヴスが、プレイオフでミネソタを止める為だけにスカウトをしてくるチームの守備にどう対抗出来るのか興味深いと話している他チームのフロントは多くいる。

ジョナス・ヴァランチュナス – トロント・ラプターズ
ここではなるべく2年目の選手は避けようと思ったのだが、ヴァランチュナスは例外としてピックアップした。一応2011年のドラフト選手で昨シーズン彼がプレイした最後の15試合中14試合で二桁得点し良いポストプレイを見せ今シーズンとても期待されていた。

しかしヴァランチュナスのプレイは、こないだの日曜日のデンバー戦で18得点11リバウンドの猛獣の様なプレイを見せたが、頭打ちしている。(猛獣と言えば、うまく説明できないのだがなぜか私はヴァランチュナスを見るとライオンを思い出す。ちょっと彼にタテガミがあるのを創造してみてよ。ライオンに見える?私が頭おかしいだけかな?今のは答えなくていいです。)出場分数はあまり増えておらず、ドウェイン・ケイシーHCは彼をゲーム終盤に出すのをまだあまり信頼出来ていないようだ。主な原因はヴァランチュナスがまだトロントの守備セットを上手く実行する事が出来ないからだろう。ヴァランチュナスはトロントのポゼッションの中17.5%しか使用されておらず、主な先発選手からすると低い数字だ。ルーキーの頃の数字からも僅かにしか上がっていない。

原因の一つは明らかだ。このチームは良くも悪くもルディー・ゲイとデマー・デローザンの物だ。彼らから開始しないセットでも、例えばカイル・ラウリーとヴァランチュナスのピック&ロール、だいたいは最終的にはどちらかがアイソレートするか、スクリーンをかいくぐるか、ドリブルからの受け渡しで沢山ドリブルした結果中距離からジャンプシュートという形で終わる。トロントの多くのポゼッションは、最初の12秒位はとても良さそうな展開をするのだが、最終的に最後の8から10秒位でヒーローボールになっている。ケイシーHCも「彼は3番手だ。時には4番手。我々のオフェンスは基本的にルディーとデマーを中心に作成されている」と話している。ヴァランチュナスは邪魔にならないようにポジション取りし、オフェンスリバウンドを取る準備をするというケースがとても多い。

しかし全てがこのウィングの「スター」選手のせいではない。ここまでのヴァランチュナスのよく見る光景は、ピックを張り、ゴール下に向かってロールし、自分がどフリーだと信じ込み両腕を振り上げ、その後ボールが貰えないと文句を言っているという物だ。

ヴァランチュナス

しかしヴァランチュナスはピックを張ってからほとんど接触の無い内からバスケットにロールし始める事が多く、結果的にカイル・ラウリー、ゲイ、もしくはデローザンにあまりスペースを作ってあげていないのだ。その為彼らはドライブするスペースも無く、ゴール下で空いているヴァランチュナスにパスを出す角度も無い。ケイシーHCも「彼はオープンだと感じているかもしれない。しかし実際は違うんだ。奥に入りすぎている。もっと短いロールも勉強する必要がある。」と認めている。

ケイシーHCはヴァランチュナスがあまりスクリーンしない内からバスケットに向かって鋭く切り込んで行く事を攻めている訳ではないが、もう少ししっかりと接触するスクリーンをする頻度をあげてもらいたいと思っている。

ディフェンスでは、ラプターズはピック&ロールに対してビッグマンがボールハンドラーに飛びつくような積極的なスタイルを取っている。ヴァランチュナスはそれが出来るくらい動ける選手でありハードワーカーでもある。しかしまだタイミングが掴めていない。よくあるのが、ヘルプのポジションに少し遅れて入ってしまいボールハンドラーを止めるには遅すぎ、尚且つ自分のマークマンからも遠すぎて危険なパスレーンを作ってしまうというケースだ。

ケイシーHC「彼はまだこのレベルのスピードを学んでいる途中だ。もの凄く必死にプレイしてくれている。私がこれまで見て来たビッグマン達と比べても相当ポテンシャルが高い。しかし彼は夏にニューヨークやLAでピックアップゲームでもプレイして、200-205cm位の選手を相手にスピードに慣れる必要がある。」

ここでは(左側にいる)モズゴフを離れてスクリーンから走り込んでくるネイト・ロビンソンをカバーしにいくのが見られるが、ロビンソンへのパスをカットするには遅すぎて、モズゴフからは離れすぎているのでロビンソンからモズゴフへのパスレーンを作ってしまっているのが見られる。(決してこれは悪いディフェンスではない、実際ラプターズはネイトに中距離ジャンプシュートを打たせる事に成功している。ただ理想的ではない)

その内出来るようになるだろう。そしてもしラプターズが現在のチームを解体し高額のペリメーター選手の一人(もくは全員)をトレードする事になれば、ヴァランチュナスも自信のポストゲーム、そしてケイシーHCがもっと打って欲しいと思っているジャンプシュートをもっと披露する機会が増えてくるだろう。

イマン・シャンパート – ニューヨーク・ニックス
日曜のペリカンズ戦でカーメロ・アンソニーの酷いディフェンスに疑問を呈する勇気のあったシャンパートは、これを読んでる段階で死んでるか行方不明になっている可能性がある。イマンへ:もしこの記事をアラスカのどこかの図書館で偽髭と眼鏡の変装をしながら読んでいるとしたら、お大事に。

シャンパートはニックスの一員として完全に停止してしまった。あのフラットトップの髪型を切ってしまった事も相まって、10分近く彼がプレイしていても気づかないという事が増えていた。

シャンパートは今シーズンのニックスのポゼッションの内12.7%で起用されている。ペリメーター選手でドリブルがしっかり出来る選手にしては考えられないくらい低い数字だ。ここ2シーズンで、平均25分以上出場している選手でそれほどポゼッションに絡んでいない選手は14人しかいない。そのほとんどがシュート範囲の狭いビッグマン(デアンドレ・ジョーダン、タイソン・チャンドラー、ロビン・ロペス、ケンドリック・パーキンズの幽霊)か、層の厚いチームのキャッチ&シュート系の選手(今シーズンのジャレド・ダッドリー、昨シーズンのジェイソン・キッド、両シーズンのサボ・セフォロシャ)だ。

要するにシャンパートはほとんどボールを触れていない。SportVuのデータによると、1分平均でわずか1.4回しかボールを触れていないのだ。

確かにシャンパートはピック&ロールがとても上手い訳ではない。あまりそのプレイにはまっている様子が無く、危ないパスを犯す危険性があり、単純な作業しか望めない。今シーズンはボールを持つと長く持ち過ぎ長距離から2ポイントシュートを打つ傾向にある。(これは特にシャンパートが自分よりでかい選手が守備についている時に出る悪い習慣だ。ニックスはアンソニーをPFに置いてスモールボールをする事が多いためこう言ったケースは他の選手に比べても頻繁に起きる。相手チームがビッグマンを2人残している場合、余ってる方をだいたいシャンパートに当てる事が多い)

ああ、彼が違うオフェンスにいるのを見てみたい。今シーズンのニックスは見るに耐えない。他のどのチームよりもアイソレーションに頼っており、ボールがアンソニーかJ.R.スミスの手にある時に相手の守備は止ってセットする時間がある。ボールがシャンパートに回ってくるまえには彼のディフェンダーがぴったりとくっついており、シャンパートが何かをするスペースがほとんど無いのだ。

そしてこれはとても残念な事だ。シャンパートはボールをキャッチしてから相手ディフェンダーが間合いを詰めようとする一瞬の隙を突く事が出来る選手なのだ。シューターを止める為に
詰めにかかっているディフェンダーが急停止するのは難しく、シャンパートはそれに対してドライブで抜き去り空いたスペースに走り込み得点、もしくは他所へボールを出す事が出来る。彼は根本的に利己的ではないので、良いプレイの為に喜んでパスを出すタイプの選手だ。しかし今シーズンは少し利己的になっており、悪いシュートや簡単なプレイで良い所をハイライトに乗る様なパスを試みたりしている。彼が例えばロケッツなんかにいたらかなり状況が違うだろう。

彼はディフェンダーとしては過大評価されている。ファウルが多く、ボールを目で追ってしまている事が多く、ベースラインのバックドアカットを度々許してしまっている。今シーズンのニックスを悩ませているスウィッチの際に起きるミスコミュニケーションに貢献してしまっている。しかし彼は活気溢れる選手で、基礎はもう出来ている。後はどこかのチームがもっと良い習慣を作ってくれれば。

MELISSA MAJCHRZAK/NBAE/GETTY IMAGE
MELISSA MAJCHRZAK/NBAE/GETTY IMAGE
ゴードン・ヘイワード – ユタ・ジャズ
弱いチームの得点ゲッターという人生は厳しいものだ。ヘイワードは月曜のヒューストン戦で取り戻すまで、6試合で74本中20本しかシュートが決まらずシュートタッチを失っていた。今シーズンはシュート率わずか40%でスリーは29%にまで落ち込んでいる。ヘイワードのターンオーバー率もルーキーシーズン以来の多さに跳ね上がっている。そして今シーズンはダブルチームを要する様なビッグマンがもうおらず、チームのリーダーとしての役割を要求される中、チームが頻繁に起用しているピック&ロールで特に不安定さを露呈してしまっている。

ヘイワードが実行したピック&ロールの内23.8%の確率でターンオーバーを犯している。SynergySportsによると、それは最低50回以上ピック&ロールを実行している58選手の中で下から6番目となる数字だ。(この数字は2012-2013シーズン全体を見ても良い数字ではない)

ヘイワードのプレイがもの凄く悪い訳ではない。しかし第1オプションとは呼べない様なレベルなのだ。その為トレイ・バークの最近の良いプレイはユタにとってとても心強いものとなっている。ボールを持っているヘイワードの動きは割と予測がしやすく、ピック&ロール系の選手に必要なペースを変える事が出来る中距離からのプルアップジャンパーを持っていない。ディフェンスを崩す前にドリブルを止めてしまうのが早過ぎるか、守備の堅いゴールに向かって力強くドライブするかのどちらかなのだ。

力強いドライブはもちろん良い事だが、ヘイワードはヘルプディフェンダーを置き去りにするようなスピードも、相手をかいくぐる様な策略的プレイも無い。ベースライン沿いの狭い空間にドライブすると、コートにディフェンダー達は全員パスレーンを塞ぎに行き、ヘイワードは必死に抜け道を探す事になる。ゴールから遠いところでヘイワードをトラップしてしまえば、だいたいパニックでドリブルを止め、ジャンプしながらクロスコートパスを出しターンオーバーの危険性が増す。

ヘイワードのパス能力は高く、ユタのプレイメイカーとしてアシスト数も増えている。少しでもスペースを作る為にマーヴィン・ウィリアムズをスモールボールPFとして先発起用しないといけない様なチームでそれを達成している。真剣な話、ほとんどの相手がユタの選手の半分くらいをガードすらしておらず、ヘイワードは仕事をするスペースがほとんど無くパスレーンも閉ざされてしまっている。そしてこれまでのシーズンでヘイワードに期待出来ていたようなどフリーの状態で打てるシュートも忘れなければいけない。他のジャズの選手がディフェンスを引き付ける事ができないと言う事は、ヘイワードのディフェンダーが通常よりも1,2歩ヘイワードに近いという事だからだ。

ヘイワードはまだこう言った状況でも成功出来るような選手ではない。相手ディフェンダーが与えるようなポケットパスや逆サイドにいるシューターへのパスなかは出来るが、まだそれ以上の物を自ら作り出す事ができない。

イーネス・キャンター – ユタ・ジャズ
あまり上手くいってないね。ジャズはキャンターとデリック・フェイバーズが両方コートにいるに、100ポゼッション平均でわずか84.2得点しか出来ていない。あまりにも得点できていない為タイロン・コービンHCはキャンターを先発から外しもう少しストレッチの出来るウィリアムズを投入せざるを得ない状況にある。今はそれでも大丈夫だが、ユタはキャンター=フェイバーズのコンビニもっと活躍してもらう必要がある。先発メンバーを変更してから4試合で、2人が同時に出場したのは1試合のみの9分だけだ。最近ではキャンターの出場時間がだいぶ限られるようになっている。

どちらのビッグマンもディフェンスの注意を要する様な中距離からのシューターではなく、ジャズはキャンターのポストプレイとフェイバーズのピック&ロールプレイを上手く融合する事にてこずっている。そしてフェイバーズがポストプレイが上手くなっているのもある。

キャンターのフリースロー数も下がっており、デジュアン・ブレアの様なオフェンスリバウンドを取りまくるけどディフェンスでは消え去るようなリバウンダーになってしまう恐れがある。現在キャンターは相手のミスの内わずか15.6%しかリバウンドできていな。ビッグマンとしては酷い数字で、アンドレア・バルニャーニ位酷い。(フェイバーズがベンチに下がるとキャンターがリードリバウンダーになるので当然その数値は上がるが、それでもバルニャーニレベルを大きく超過している訳ではない)

キャンターは守備でもあまり上手くいっていない。コービンHCはピック&ロールの時はボールハンドラーを詰めるように指示しているが、どうもキャンターはそのような動きが出来るタイプの選手では無い様に見える。鈍い動きとバタついた足というあまり良くないコンビネーションを持ち合わせており、多くのミスを誘っている。

彼は良いNBA選手で、特にオフェンスは良い。今シーズンもっとプレイしているのを見てみたい。

トリスタン・トンプソン – クリーブランド・キャバリアーズ
トンプソンはとても愉快な人(カナダ人だしね)で、ハードワーカーだ。しかし出場時間の多いNBAビッグマンでありながらシュート率42%と言うのは、ロイ・ヒバートやドワイト・ハワードの様な守備を見せていない限りあってはならない。トンプソンは良いディフェンダーで、バスケットから離れた場所でピック&ロールを崩す事の出来る選手だが、シュート率の悪さを許せるほどゴール下での堅守っぷりは無い。

確かにトンプソンはシュート率42%だが、全て彼のせいな訳ではない。クリーブランドのオフェンスは見られた物ではなく、その原因は選手達とコーチ両方にある。キャブスはウィングからのシュート力が皆無に等しく、タイラー・ゼラーとアンソニー・ベネットが使い物にならない為ビッグマンのローテーションが1人のポストプレイヤー(アンドリュー・バイナム、ペイント内のシュート率36%、10フィートより離れた所からは34本中15本しか決めていない)と2人のピック&ロールからバスケットをアタックするタイプの選手(トンプソンとアンダーソン・ヴァレジャオ)しかいない事になる。

そしてブラウンHCのオフェンスは予測が非常にしやすい。キャブスのプレイは、スクリーンの掛け合いでとても楽しいのだが、だいたい1回それをやると止まってしまう。結果的に、カイリー・アーヴィングかジャレット・ジャックの高い位置でのピック&ロールに頼るしかなくなる。2007年のNBAでは有効だったが、現在は2013年でトム・シボドーの守備が浸透したこのリーグではもう通用しない。

これらの組み合わせはトンプソンにとって最悪で、仕事をするスペースをほとんど見つけられていない。ヴァレジャオがロールする時、トンプソンの仕事はファウルラインに上がってボールを受け取れる選択肢を作る事だ。そしてトンプソンがロースする時、今シーズンは非常に少なくなっているが、込み合っていて切り込めなくなっているのだ。バスケットに向かう事が出来ず、中距離ジャンプシュートを打つか、あまり成功しないドライブをしかけないといけない状況になっている。トンプソンはスピンやフェイクを必死に試みてはいるが、だいたいこのようなフローターで終わる:

トンプソンは良い選手だ。しかしキャブスとしては昨シーズンの様なプレイを見せてもらう必要がある。

期待されたステップアップがまだ出来ていなく後日また分析したい他選手:
ジミー・バトラー、カイリー・アーヴィング、アレック・バークス、エイブリー・ブラッドリー、ケネス・ファリード、ジョーダン・ハミルトン、エクペ・ウド、エド・デイビス、クワイ・レナード

 
好きな事嫌いな事10選

1. ニューヨークのディフェンス
先週の火曜日の朝、珈琲を飲みながら先週のニューヨーク対ポートランドの試合を見る準備をしていたんだ。とても起源の良い一日の始まりだ。ブレイザーズの最初のポゼッションでポートランドは簡単なガード同士のスクリーンの掛け合いを展開した。1試合で何度も見るようなプレイだ。

守備していたニューヨークの2選手であるシャンパートとベイノ・ウドリーはコミュニケーションミスからスウィッチに失敗し、ウェスリー・マシューズはフリーでレイアップを決めた。この試合一番最初のプレイだよ?!その時点でもうしばらくニックスから離れる必要があると判断したよ。もちろん全く見ない訳ではなく、可能な時は試合をつけている。しかしバスケットボールのチームとして真剣に見ていられない。今の状況を脱するだろうか?まだ45勝出来るだろうか?ニックスが基本的なバスケットのプレイが出来るようになりますように。

まだ待ってます。

AP PHOTO/MORRY GASH
AP PHOTO/MORRY GASH
2. ネネ、怒りのダンク
ネネの契約は怪我等の問題から出場時間が限られているため高額すぎるとされている。しかし全体的にはとても良い選手で、彼ほどリムに向かって力の限り叩き付けるようなダンクをする選手はいないかもしれない。まるで頻発する怪我や周りの批判からのストレスを全てリムにぶつけているかのようだ。いつか手首を怪我するんじゃないかって位凄い。

3. ジャメイン・オニールのポストアップ
SynergySportsによるとオニールは今シーズンポストアップで33本中11本決めている。スピンからのターンアラウンドシュートを好むためファウルもほとんど誘う事ができていない。オニールのほとんどのポストアップは、ベンチ陣の多いラインナップでオフェンスの中心になっている時が多いのだが、単純にこのような得点力のあるチームで彼がここまでオフェンスで起用される必要が無いはずなんだ。

マーク・ジャクソンHCはゴールデンステイトで良い仕事をしている。ウォリアーズはウィングのポジションでかなりのサイズがあるのでポストアップでのアドバンテージを得る事がとても多い。OKCが今シーズンの対戦2試合でケビン・デュラントをPFに配置しているように、相手がスモールラインナップを起用している時は余計そのアドバンテージが顕著になる。ゴールデンステイトは昨シーズンのプレイオフでデンバーやサンアントニオの小さいガード相手にポストアップをして苦しめた。

ポストアップをどれくらい行うか判断するのは難しく、ジャクソンHCは今シーズン何度かやりすぎている。何度かオフェンスを止めてまでしてポストアップのアドバンテージを利用する事が見られている。サンダー相手には二度しっぺ返しをくらっていて、ウォリアーズは良いチームを相手にオニールのポストプレイを多用すべきではない。

4. 「X辺りからのスリー」
先週カイル・ラウリーだったかがだいぶ離れた所からスリーを決め、ラプターズの解説(マット・デヴリン)が「ミシサガ辺り(トロントの西隣にある地域)からラウリーがスリーを決めた!」と叫んでいた。笑ってしまったよ。私はどうもこの表現に弱いんだ。「X町辺りからシュートを決めちゃったよ!」みたいなの。最近のボブキャッツのホーム戦では「彼はサウスカロライナ州辺りから今のシュート打ったんじゃないかな!多分!」って言うのがあった。

他にもこれに近い表現があって「彼のシュートレンジは駐車場らへんから始まる!」みたいのがある。

どれも決まり文句みたいなものなんだけど、いつも笑っちゃうんだ。もし私がテレビに出るような事があって、司会者が選手のシュートレンジについて聞いて来たら、彼のレンジはジムに入った辺りから始まってるよって言うと思うので見ててください。

MELISSA MAJCHRZAK/NBAE/GETTY IMAGES
MELISSA MAJCHRZAK/NBAE/GETTY IMAGES
5. チャンドラー・パーソンズのシュートフェイク
彼ほどあわやアップ&ダウン・バイオレーションという様なシュートフェイクをする選手はいないと思う。パーソンズはたまにシュートモーションに入りながら、本人でさえシュートするかフェイクをするか決めておらず、つま先まで上がって降りてくるという事がある。見てて楽しい選手だ。

6. デイ=オー!
ハリー・ベラフォンテの曲は好きだよ。30歳以上のアメリカ人なら誰も好きであろう映画「ビートルジュース」も大好きだよ。それでもね、突然意味のわからないタイミングで「デイ=オー!」っていう効果音を鳴らすのそろそろやめようよ。ヤンキーススタジアムでもこれをよくやる、もしくはやっていたんだけど、その時の事を思い出すだけで震えが止まらなくなるんだ。ああ、これ個人的な問題かもな。

7. 圧倒されてしまっているコディー・ゼラー
ゼラーはルーキーでこの新しいレベルでのスピードを学んでいる状況だから成長の為に多少の痛みを伴うのは理解できる。しかし彼のシュート率は34%でターンオーバー率も悲惨だ。彼に
とっては得意な位置であるはずのエルボー辺りでボールを受け取る度に圧倒されてしまっているような表情を見せている。
「よしボールを持ってるぞ。え、え、え、え、ボール持ってる!?シュートした方が良い?どうしよう相手結構俺に近いな。ドリブル出来るかな?あれ、ドリブルして良いんだっけな?コーナーにいるスウェーデン人だっけ?にパスしたほうがいいかも!あ、向こう見てる事バレた。よしとりあえずなんかしないと!そーれ!」(ここでゼラーはだいたいリムに向かって左に1,2回ドリブルして転ぶ)

8. 解説者としてのデイビッド・ウェスリー
ホームチームの為に絶叫しまくる解説者が多い中、ウェスリーはゲームのニュアンスをしっかりと伝える落ち着いたプロフェッショナルだ。先週のペリーズ(ロウ氏はペリカンズをこう呼びたがっている)の試合では、相手がダンクしたビデオを見せながら、モンティ・ウィリアムズHCのセットで実際どの選手がどこにどうローテーションすべきだったかを淡々と解説していた。とても簡単な事ではなあったけど、NBAディフェンスの複雑さをとてもうまく説明していて、ウェスリーはこれをよくやってくれている。

JOE MURPHY/NBAE/GETTY IMAGES
JOE MURPHY/NBAE/GETTY IMAGES
9. ケビン・デュラント=レジー・ジャクソン=ラッセル・ウェストブルック=サボ・セフォロシャ=サージ・イバカ

NBA.comによるとこのラインナップは6試合で19分プレイしている。スコット・ブルックスさま、どうぞこのラインナップをもっと多用してくださいませ。

10. スリーを打ちまくるジャレッド・サリンジャー
サリンジャーはなかなか良い2年目を送っている。ゴール下では相手をどかし、良いパスを出し、ディフェンスでも良い動きを見せている。ラジョン・ロンドが戻るまでの間は、サリンジャーがボストンの1番良いオールラウンダーかもしれない。

スリーでも32%(44本中14本)まで上がって来ている。これはブラッド・スティーブンズHCの実験で、当初はボストンのファンと地元解説者のマイク・ゴーマンの不満を買っていた。

サリンジャーがスリーを打ちまくるのは、上から下まで組織として連携が取れている事を証拠だ。ボストンは今シーズン弱い事は周知の事実。であればサリンジャーをケビン・ラブみたいな選手に育ててみるのは悪い選択ではないはずだ。例えスリーがうまくいかなかったとしても、彼は良いNBA選手になるはずだ。しかしもし上手くいけば、更に良い選手になれる。

10 コメント

  1. 更新お疲れ様です。
    2番手の選手にスポットを当ててどうすれば伸びるかを的確に指示されてますね。
    これを読んでビッグネーム以外の選手にも目を向けるという意味でも面白い記事かもしれません。
    ルビオなんて日本人好みのプレイしますんでもっと外が入るよう伸びて貰いたい所ですね。

    • まもるさん、コメントありがとうございます。
      ザック・ロウ氏は非常に細かく全体を見通した分析をしてくれるのでいつも勉強になっています。いつ寝てるんだろうこの人。
      ルビオは日本にもファンが多いですよね。僕も大好きな選手なので是非もっともっと成長して欲しいです。

  2. 前回に続き大変面白い読み物を翻訳して下ってありがとうございます!
    自分はバスケ、サッカー、アメフト、バレー、どのスポーツでもゲームメイカー・タイプの選手が
    大変好きで、自分なりに考察するのが趣味と言ってよくルビオの事は世界選手権でまだ17歳の
    彼を初めて見たときから、スペイン代表、バルサでのユーロリーグと日本で観戦出来るゲームで
    ルビオを追いかけていたのでミネソタにドラフトされた時は、かなり不安でしたし入団後すぐに
    ローズと同じ様に前十字をやった時はショックも受けました。
    現在は目を見張る様な素晴らしいパス・ワークとゲーム・ビジョンを発揮していて
    個人的にジェイソン・ウイリアムス以来のインパクトを受けています!
    しかし指摘の様にルビオのシュート成功率と得点力の低さは不可解としか言えません・・・
    シュートフォームやシュートタッチも問題無い様に見えるし、なにより針の穴を通す様な
    パスコースを瞬時に見付けだす目が有るのにシュートの軌道はどうなんだろう?
    フリースローの成功率もガードの選手としてはは80%前後だったと記憶していて
    可もなく不可も無くと云った所ですよね。
    ただ、希望はあのJ・キッドも暫くは余りジャンパーが決まらなかったけれど
    ネッツの頃は3も決めていた様に、まだまだ改善の余地があると思っています。
    ブルズにはローズは暫くお休みだけどカークが居る!
    得点力も兼ね揃える特徴の異なる2人のPGが躍動する時が来る事を待ち望んでいます。
    ダラダラとした長文、失礼しました(汗)

    • T-コッチさん、コメントありがとうございます。
      凄い昔からルビオを追っているんですね!ルビオのパスは本当にありえない様な所を通してしまうので本当に見ていて魅了されてしまいます。素晴らしい選手だと思います。だからこそシュートも克服してもっと選択肢を広げて欲しいですね。彼に選択肢が増えるという事は相手ディフェンダーも全てに備えないといけなくなるので、良いプレイがでやすくなると思いますので。

      ブルズは今シーズン、ローズの素早い展開からカークのじっくり展開に切り替わったりするのが見ていてともて期待出来たんですよね。2人が同時にプレイしている時間帯もとても面白かった。

      長文いつでもウェルカムです!ありがとうございます。

  3. ロウ氏の分析のユニークさは今更言うまでもないほどですが、そのベースとなっている情報に唖然としてしまいます。まあ本当に複雑なデータ、というか誰がつけてるんでしょうかねってくらい。ピックアンドロール時でのターンオーバー率なんてのがあるわけですか。アメリカ人はデータが大好きというのは勿論知っていますが、まさかここまでとは。

    • MJ32さん、コメントありがとうございます。
      この人の情報力凄まじくていつも感心させられます。一体いつ寝てるのだろうかと心配してしまいます。向こうのデータ収集は凄いですよね。
      リーグとして全選手のコート上の全ての動きをとらえるカメラを導入してしまったくらいなので、今年はデータが豊富で余計面白いです。

  4. ヘイワードに関する内容には「なるほど~」と思いました。
    最近ヘイワードはそこそこ数字残すようになってきたなと思っていましたが、
    確かにファーストオプションにするにはまだ物足りない選手なんですね。
    サイズの割に器用な選手なので、今後に期待したいです。
    ルビオにジャンプシュートがついたら、
    それこそNo.1PG争いに食い込んできますよね。
    ミネソタは好調だったはずがずるずると後退してしまったので、
    今後の巻き返しに期待したいです。

    • Rockさん、コメントありがとうございます。
      ヘイワードは結構良い選手だなと思うのですが、ここまでシュート率が悪かったとは思いませんでした。しかし期待できるからこそピックアップされているので成長が楽しみな選手ですね。
      ミネソタは西で1番好きなチームなので是非ルビオには頑張ってもらいたいです。

  5. 長文翻訳ありがとうございます!
    ジミーの名前がなありましたね。期待されてるってよいのかな。
    お時間がある時に翻訳よろしくお願いします。m(_ _)m

    • longyiさん、コメントありがとうございます。
      ジミーの分析してほしいですよねー。怪我しちゃってるのでまだ早いかなと思ったのかもしれませんね。ロウ氏のブルズに関する記事が出て来たらもちろんまた翻訳しますね!

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