スティーブ・カーQ&A:2015-16ウォリアーズ vs 1995-96ブルズ

スティーブ・カーQ&A:2015-16ウォリアーズ vs 1995-96ブルズ

先日ESPNに2015-16ウォリアーズと1995-96ブルズが対戦したらどうなるか、どちらにも深く関わっているスティーブ・カーについてインタビューした記事が掲載されました。いくつか翻訳してほしいみたいなのを見たので翻訳してみました。スティーブ・カー好きだなー。

聞くまでもないと思いますが、僕はブルズ派です。

元記事はこちらです:
Steve Kerr Q&A: 2015-16 Warriors vs. 1995-96 Bulls by Ethan Sherwood Strauss

ゴールデンステイト・ウォリアーズのホットな開幕ダッシュはホットな議論も生み出した。歴史的な72勝という数字を打ち立てた1996年シカゴ・ブルズのメンバーであるロン・ハーパーが、あのブルズなら今のディフェンディング・チャンピオンであるウォリアーズをスウィープできると豪語した。既にスポーツファンの間では度々話に上がる議論ではあったが、この発言は当事者が発したものだ。これで正式な論争として話し合おう:2016年ウォリアーズ対1996年ブルズ、さあどっち?

スティーブ・カーにとってはこれはとてもややこしい問題だ。両チームに所属し自身と戦う必要がある唯一の存在なのだ。しかしカーは時間という壁が自身を分断しどちらのチームに忠誠心を誓うのかという究極の選択肢を課されているにも関わらず、この馬鹿げた議題をとても楽しんでいるようだ。確かに現在カーは背中の手術の影響で休まざるをえない状況だ。1度の戦いを両側から楽しめるのは今の飢えた状況を満足させるには丁度いいのかもしれない。

この絶対実現しないシナリオについて彼と話す機会を設けることができた。

スティーブ・カー「まず自分がどういう人間か話させてもらおうかな。昨日はロッカールームで試合を見ていたのだけど、そこで解説のヴァンガンディがこのチームと96年ブルズの比較をしていたんだ。それを見ながら”くそ、僕がこのチームをコーチしているはずなのに、コートにいなければいけないのに”って考えてたんだ。そうすれば試合後の会見できっと誰かが96年ブルズとの比較について質問してくるだろ?こういうの大好きなんだよ!すごい楽しいんだ。ああーなんで休んでるんだろう。もう死にそうだよ。」

いやいや嘘ですよね。試合をコーチするという緊迫した状況の後、そんな実現することもない机上の空論について話したいなんて思うのですか?

カー「思うよ!大好きなんだこういうの。凄い楽しいじゃん。もちろん今14勝0敗(当時)だからっていうのもあるけど、いやいや、大好きなんだよこういうの。」
最初の15試合
1995-96 CHI 2015-16 GSW
勝敗 13-2 15-0
得失点差 +125 +216
平均得点 103.5 114.5
被FG率 45.5 42.7

じゃあこのマッチアップについてまず思うことは何ですか?

カー「まず思うことは、ルールと時代が違いすぎて比較するのは不可能だってことかな。(マイケル)ジョーダンのいるストロングサイドにディフェンスを寄せて守ればイリーガル・ディフェンスをとられる。彼らは(ステフィン)カリー相手に手で止めまくるだろうけど審判にファウルをとられる。意味わかるかな?」

わかります。では妥協案として、ハンドチェックは有りでイリーガル・ディフェンスは無くしましょう。アナリストの目線からはどういう展開になると思いますか?

カー「おーそれは面白くなってきたね。まず唯一確実にわかっていることは僕がステフの事を守りようがないという事かな。だからうちはステフをスコッティー(ピッペン)とハープ(ロン・ハーパー)で交互に守る形になるだろうね。」

この話がこんなに難しい話になると思っていませんでしたね?

カー「うん。ただうちは…あ、「うち」って話すときはプレイしている立場から話してるからね。なんというか、僕が「うち」とか「相手」っていうともうどっちがどっちかよくわからないね。」

もうむちゃくちゃですね。

カー「むちゃくちゃだよ。試合としてはスモールに行く展開になると思うんだ、当時のブルズのビッグマンはコートに出続けるほどオフェンス力がなかったからね。よしこれから”ブルズ”と”ウォリアーズ”って言うね、「うち」と「相手」だともう僕がどっちのことを話してるのか誰もわからなくなるから。ブルズのビッグマンはベンチに下がることになる。ということは(デニス)ロッドマン対ドレイモンド・グリーンという最高のマッチアップになるんだ。」

元ブルズのビル・ウェニントンはシカゴが勝つと自信満々に話していました。これ掲示板に掲げちゃうやつですか?ウェニントン氏は試合中なんらかの方法で痛い目に合わせたりしますか?

カー「いや多分そんなことしないよ(笑)。ビル・ウェニントンが何言ったかはあんまり心配しなくていいよ。」

最近いろいろ言っているロン・ハーパーは?彼はそこまでスリーがうまくなかったと思うので、アンドリュー・ボーガットをつけたりするのでしょうか?

カー「ああ、そうだね。ボーガットにロン・ハーパーを守らせる可能性は高いと思うよ。しかしそこでトライアングル・オフェンスの登場だ。ここはトライアングルに敬意を表したい。トライアングルは常に動き回っているからそういう対応をするのはなかなか難しいんだ。相手をかき回しバックカットがとても多かった。トライアングル相手にそういう対応をするのは難しかっただろうね。」

時を越えてコーチする対戦相手に30代の自分がいるっていうのはどう対処しますか?バタフライ効果が起きて世の中に矛盾が生じてしまいキム・カーダシアンが我々の独裁者になってしまう心配とかはしますか?それとも勝つ事だけに集中しますか?

カー「キム・カーダシアンはどうやって独裁者になったの?」

わかりません、バタフライ効果ですよ!「バック・トゥ・ザ・フューチャー」見た事あるでしょ。何か一つの事をやると、他の何かがおかしくなっちゃうんです。

カー「マイケル・J・フォックスもどっかで登場する?」

そんな感じです。ほら、自分の写ってる写真があって、いつの間にか消えていてってやつですよ。過去を変えると未来も変わってしまうんです。映画は見ましたよね、ここは当然心配しなくてはならないですよね?

カー「心配だね。でも、ということは今の頭痛も消し去ることができるってことか。」

では結果が良い方向に転じる可能性もあるので意味があるということですか?

カー「うんうん。背中の手術もやめられるかもしれない。」

自分に警告することができますね。

カー「そう、未来の自分が自分に”背中の手術を受けるな”と警告できる。」

30歳の自分に圧勝してしまって30歳の自分が自分のアドバイスを受け入れてくれない心配はありますか?

カー「(笑)ああ。その通りだね。面白いのは、数年前からTVゲーム内の解説をやっていたんだけど、それからウォリアーズのコーチになったんだ。NBA 2Kのスタッフが笑いながら”来年は一つの試合で選手、コーチ、解説として出れるね”って話してたんだ。」

じゃあそのシナリオに比べたらこれはそこまでおかしくないですね。

カー「ゲームの世界よりはまともな状況だね。」

自分相手にはどう攻めますか?自分はどう対応しますか?

カー「ウォリアーズがなぜユニークなのかというとその柔軟性なんだ。自分だとウォリアーズ相手に誰も守れないだろうから悪夢のような時間になると思うよ。ステフを守れるやつはいないから自分がそれをやろうとするのはもう無理だよね。だから守備ではどこから始めればいいのかもはやわからない。でもオフェンス面ではうちは特に相手を気にしない。うちのフィロソフィーは”最終的に良くなる”だ。ボールをプッシュしてどんどん回して、パスしてカットして動き回る、そう言った感じだった。」

さっき話していたロッドマン対ドレイモンドのマッチアップはどうですか?どっちが勝つでしょう?

カー「それは見るの楽しいだろうね。ボールハンドリング、プレイメイク、シュート力、スリーを決めたりそう言った事に関してはドレイモンドの方が上手いだろう。デニスはドレイモンドがとてもインスピレーションを受けた選手だと思うんだ、特にハッスルやリバウンドに関してはね。デニスのようにリバウンドが出来る選手はデニス以来存在しない。感情で試合に影響を与えることができるのはドレイモンドも似ているね。いくつかテクニカルが吹かれるだろうね。1、2回は喧嘩にもなりそうだな。」

マイケル・ジョーダンが主にステフを守っていると思いますか?スコッティーがクレイ・トンプソンを主に守っていると思いますか?

カー「両チームの一番の共通点はディフェンスでの柔軟性だと思うんだ。ブルズに関してはジョニー・バック(元大学とウォリアーズのコーチ、当時のブルズアシスタント)がよくスコッティーとマイケルのことを”ドーベルマン”と呼んでいたんだ。そしてスコッティー、マイケル、デニス、ロン・ハーパー、彼らは全員お互いとスウィッチして守れる。1番から4番までスウィッチするようなチームでプレイした、むしろ見たのはあのチームが初めてだったよ。なんなら(トニー)クーコッチを出せば1から5まで全員スウィッチできる。だからある意味ではあのチームはウォリアーズの先駆けみたいなものだったんだ。だからマッチアップ次第では10人全員がお互いスウィッチするっていう展開があり得る。」

コーチする対戦相手のオフェンスに自分が慣れ親しんでいるのでそれはちょっとずるいアドバンテージになりませんか?

カー「(笑)いやないよ、ないね。なんの役に立つのかいまいちわからないやそれは。」

ではこのとても真剣な議題についてそろそろ予想をいただきたいです。ハンドチェックがOKで、ディフェンスもやりたいことをやっていいという仮想に基づくと、最終スコアは?

カー「ノーコメント。」

実現しようのない仮想の試合についてコメントいただけないんですか?

カー「うん。この実現しようのない仮想の試合についてコメントするのは拒否する。」

では冥王星で行われた場合はどうですか?

カー「ああ、もし冥王星で行われるなら最終ブザーと同時にマイケル・ジョーダンの上から放たれたステフ・カリーのスリーで全てが決まると思う。そして入るかどうかはわからない。」

4 コメント

  1. 面白いですね!
    カーはコメントしづらいとこもあるのでガーネットやコービーなんかは黄金期のブルズとも現ウォーリアーズとも対戦してるので実際対戦してのコメントなんか聞きたいです!
    自分はブルズが強いと思いますね。
    90年代もスコアリングPGやシューターはたくさんいて、ブルズはディフェンスで対応してくると思いますが、ジョーダンのポストアップにはウォーリアーズは手を焼くと思いますね。そして何より経験の差がかなりあると思います。昨シーズンブレイクして初優勝したチームと百戦錬磨のブルズではそこで大きな差が出ますね!
    ブルズは強いだけでなく見てて面白く観客を魅了してましたよね!どのスポーツも強いチームというのはサッカーをバルサにしろたくさん出てきますがあのときのブルズ程話題にもなりバスケを見てない人もわかるというのはジョーダンとブルズくらいじゃないでしょうか!
    あと思うのは90年代はプレイオフに重きを置いて主力をレギュラーシーズン休ませたり、こんな主力級が怪我で休んでましたかね?ジョーダンをはじめ多少の痛みと戦いながら休まず試合に出続けるていたのでどの対戦も楽しかったような…毎試合フルメンバー同士の戦いをファンは楽しみにしてるんでですね!
    今はどこのチームもあのせんしゅがいない、この選手がいないでフルメンバー集まるのはプレイオフから?そこが残念です。
    って話がズレましたね

  2. 最近の選手はウェイトしすぎなんですかね、見た感じやはり筋肉隆々の選手も増えたが昔よりクイックネスが無いように感じますし。結果怪我も多いような。ドレイモンドグリーンはロドマンよりもバークリーに近い気がしますね。正直どっちが勝つか全く予想できないのでNBA2Kでコンピューター同時に戦わせてみようかと思います(^ ^)

  3. 勿論この記事はS・カーありきの記事なのですが、MJ時代のウォリアーズ自体も
    魅力的なチームでしたね!

    以前にもコメントした事があるのですが、お子様時代に観たNBAの衝撃が未だに
    色褪せないのもBULLS以外にも魅力的なチームが多かった事が大きいと思います。

    あの時代のウォリアーズは今でも大好きなC・マリンやT・ハーダウェイ、
    マーシャローニス、T・ヒルをD・ネルソンが率いた「ラン&ガン」ってフレーズに
    意味も分からず痺れていたものです(笑)

    なので未だにウエストのチームではウォリアーズが一番好きですね~
    勿論、自分も御多分に漏れず想像、妄想対決は大好きで今のウォリアーズvsMJブルズは何度もイメージしましたよ!
    結果はMJブルズのエグいDFで4-2の勝利なのですが2ndユニットはウォリアーズに
    軍配ってなイメージです! クーコッチvsイグダーラの6マン対決もゾクゾクしますね!

    取って付けた様で恐縮ですが本当にブルズvsウォリアーズのNBAファイナルが自分の
    ブルズ・ライフの夢なんですよね! 
    蛇足ですがNFLではパッカーズvsペイトリオッツの再戦スーパーボールが夢でございます。
    ご多忙の中、楽しい記事をアップして下さって、ありがとうございます。(笑)

  4. すごく面白い記事ですね!
    私も「jt」さん同様bullsが勝ちそうな気もしますね。やっぱりカーの言う通りトライアングルオフェンスにはgswもかなり手を焼くと思いますね。ディフェンス面でも見てもジョーダン・ピッペンがいるだけで恐ろしいですね。
    ただ今のシーズンのGSWは無敵ですよねぇ・・・。後半がとくに・・

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