Chicago on his mind ローズ、シカゴ市の銃犯罪について語る

Chicago on his mind ローズ、シカゴ市の銃犯罪について語る

黒人少年殺しの自警団員に無罪=全米注目の裁判で評決−フロリダ州(時事ドットコム)
アメリカは今、銃社会と人種問題の複雑に絡まった難題を前にして抗議の声がこだましている。昨年フロリダ州で発生したトレイヴォン・マーティン殺害事件の容疑者と目されていたジョージ・ジマーマンに無罪判決が下り、これを人種差別的判決として全米各地で抗議集会が行われている。周知の通り、アメリカは銃社会であり、元来深い病巣を抱えていたが、これに人種差別への抗議も絡みこんで、問題はより解決し難い方向に向かっているように見える。
1カ月に54人が銃で殺されるシカゴ(ハフィントンポスト・ジャパン)

そして全米で最も銃による悲劇が顕著なのが、シカゴ市である。上記リンク先にはこのような文面がある。

(ジマーマン)裁判が終わってから数日のうちに、シカゴ市ではさらに3人が銃によって殺されている。そのうちの1人は16歳のジョセフ・ブルワー・ジュニアくんで、14日の午後、幼い娘がいる家に向かって歩いている途中で凶弾に倒れた。ブルワーくんはビデオゲームとバスケットボールが大好きで、「家族思いの」少年だった。

全米第3の都市として名高いシカゴ市は、いまや全米最悪の銃犯罪の巣窟である。そして引用した犠牲者の少年のようにこの町から熱心にバスケットに打ち込んで、地元シカゴ市のみならずNBAのスターダムに駆け上がったのが、デリック・ローズである。

ローズはシーズンオフの期間を利用し、世界中をアディダスのプロモーションのために渡り歩いている真っ最中であり、9月には来日の予定が組まれている。しかしローズは、身はヨーロッパにありながらもシカゴ市が抱える病巣について片時も忘れることはなかった。以下にローズがシカゴ市での銃犯罪について述べたコメントを引用し、大まかに翻訳する。

Derrick Rose

Rose speaks from heart about crime in Chicago(Chicago Tribune)

“It all starts with poverty, people just surviving and people just really trying to get out,”

“If you look at the world we’re living in today, everything is getting faster,” Rose said. “You want success faster, you want Internet faster … everything is getting faster. Of course, being human, you want a lifestyle that’s faster (too). You see people getting famous on YouTube and you think you can be that next person. That creates havoc and different ideas in people.”
Translated: Impoverished people seek quicker solutions to chronic problems that often contribute to making bad decisions. Sometimes their desperation turns deadly when weapons too easy to obtain fall into the wrong hands.

“All I can do is stay positive and know there are people watching me, young kids looking up to me and giving them a reason to go out there and know the reason they’re working hard is to help people,”

“I’m young but for some reason people tend to listen to me, especially younger kids, just knowing where I grew up and what I had to go through to get where I am at today,” Rose said. “Being a role model, I try to stay positive and bring hope to my city where, of course, we’re going through so much stuff with crime.”

実は昨季オフにもローズはCHIのチームメイトであるギブソンやノアたちと銃犯罪撲滅のキャンペーンの一環で、シカゴ市で対立するギャング同士を招いて行われたバスケット大会に参加している。今回の銃犯罪に関するコメントがただの上辺だけのものではなく、以前からシカゴ市イングルウッド出身者として地元の悩みを解決しようと努めてきたことがうかがえる。
Isiah Thomas hosts PEACE basketball tournament(BEYOND THE BUZZER)

地元出身のNBAプレイヤーというだけでなく、CHIからドラフト1位指名で入団したローズの境遇は大変恵まれたもののように見える。しかしそれだけでなく、その生まれ育った町は銃犯罪の病巣であるという事実と向き合い、また地元の名士として出来る限りのことをしなければならないという責務についても彼はよく認識しているようである。依然としてシカゴ市の銃犯罪は増える一方であるが、ローズの活躍によりシカゴ市のギャング達が銃をバスケットボールに持ち替えて銃犯罪が撲滅される日がくればと切に願う。

最後に、シカゴトリビューンの記事を締めくくる次の言葉を引用して、本稿を終えたい。

Where Rose’s heart always is, no matter where his head hits the pillow.

8 コメント

  1. ローズがシカゴ市民から愛されるのは、
    プレーヤーとして優れているだけでなく、
    人として愛されるからだと思っています。
    寡黙で物静かな印象の彼ですが、
    こういう背負うものをしっかりと真正面から背負える器の大きさを感じますよね。
    まだ24にして、本当に頭が下がります。
    そういった、人から愛される人格の持ち主という点においても、
    ジョーダンを継ぐにふさわしいのかもしれないですね。

    • ろっくさん、コメントありがとうございます。
      やはりシカゴ出身っていう所が大きいですよね。自分の見て来たもの、経験してきたものっていうバックグラウンドが強くあるので、その分メッセージも強くなる。
      地元のヒーローがそのままスーパースターへってやはり夢がある。

    • コメントありがとうございます。

      CHIのファンは町を挙げてチームを応援していますが、ローズの町を想う気持ちはそれに応えるもののようにも感じます。町とチームとプレイヤーによる一体感は他ではなかなか得られない貴重なものだと思います。その一体感が町の治安回復とチームの優勝に結び付けばいいですね。

  2. うぉぉ、ローズの画像めちゃカッコいい!!!!スマホの壁紙にさせて頂きます、管理人さんありがとう

    • マサムネギさん、コメントありがとうございます。
      cdcさんが提供してくれました!格好良いですよね!

    • コメントありがとうございます。

      拾い物ですが、披露する機会がなかったので今回使用させていただきました。気に入っていただけて光栄です。

  3. 先月JスポーツのESPNドキュメンタリーを見たとき、
    ベンジャミンウィルソンというシカゴ出身選手の特集でした。
    彼は全米でも有力選手でしたが、
    大学進学前に銃で殺されてしまいました。
    ニックアンダーソンの25番は彼から来ているそうです。
    そして、後に同校で彼の背番号を受けついだのがローズでした。

    スカラブリニの記事から飛んできましたが、
    すばらしい記事ばかりですね。

    • ベンジーさん、コメントありがとうございます。
      ローズの高校での背番号は確かにベンジーへのリスペクトで25番でしたね。
      大学では25番が既にペニー・ハーダウェイの欠番になっていたので23に変更になりました。

      地味にスカラブリニの記事が入り口の人がちょこちょこいるようですこのブログ。
      引退後も相変わらず人気がありますねw ありがとうございます。

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