写真:David Zalubowski/AP Photo

ブルズについて全く書かないまま1シーズンを終えてしまい、猛省するとともに、今後どうしていけばいいか悩み続ける日々でございます。今年はドラフトもできるかちょっと怪しいのですが、とりあえず申し訳程度にESPNに上がっていたボビー・マークス氏によるブルズのオフシーズン分析記事を翻訳したのでアップしておきます。


 

シカゴ・ブルズは22勝60敗という成績で終わったものの、バスケットボール運営部門代表のジョン・パクソンは2001-02シーズン以来最低のシーズンの総括として、チームの方向性に自信を持っていると記者陣に話した。

パクソンの言っていることを裏付ける事実もある。ブルズは平均22.8歳という若さのスターティング5を引き継ぎ、ベンチを補強するキャップスペースがあり、ドラフトでは全体7位指名権を持っているのだ。

ブルズにとって再建の次のステップは、6月20日(日本時間21日)のNBAドラフト2019で始まり、その10日後のFA市場解禁で再開する。チームが抱える課題を確認してみよう。

トレード期限後のチームの評価

12月にフレッド・ホイバーグHCが解任されるまで、ブルズは10週間でわずか10勝しかあげることができなかった。それから2か月後、トレード期限を過ぎたあたりのブルズはシーズン最高のバスケを見せていた。オットー・ポーターJr.の加入、ザック・ラヴィーンとラウリ・マルッカネンのオールスター級のプレイを武器に、ブルズはオフェンスでようやくアイデンティティを見いだすことができたのだ。

ブルズは21通りのスタメンの組み合わせで9勝42敗という成績を今シーズン残している。しかし2月8日から3月1日までの間、ブルズは6勝3敗という成績だった。その9試合うの内、7試合でスタメンだったクリス・ダン、ラヴィーン、ポーター、マルッカネン、ロビン・ロペスの組み合わせは、シーズンの成績が12勝12敗。

10月17日-2月6日 2月8日-3月1日
成績 12勝42敗 6勝3敗
PPG 102.1 (29位) 121.1 (2位)
ORTG 102.3 (30位) 114.5 (5位)
eFG% 50.2 (27位) 54.2 (8位)
TS% 53.7 (27位) 58.5 (5位)
APG 21.6 (27位) 25.8 (12位)
TOV 14.7 (21位) 13.0 (12位)
FG% 44.7 (26位) 48.3 (5位)
3P% 35.2 (14位) 38.7 (5位)

ロペスがFAとしてチームを去った場合、来シーズンは少し変わることになる。元1巡目指名のウェンデル・カーターJr.(最後にプレイしたのは1月15日)がおそらく代わりとなるだろう。親指の怪我で離脱する前、カーターはわずか9試合だけ先発出場している。ラインナップがカーターに差し代わっても、シーズン終盤に見せた好プレイができるかをブルズは判断する必要がある。

ポイントガードに答えを

これは決してダンをないがしろにしている訳では無い。ダンにはまだブルズでの役割はある。ただそれが長期的なポイントガードでは無いだけだ。

パクソンは4月の記者会見で「クリスは契約下にある選手なので、当然チャンスを与えられる」と語っている。

「しかしチームとして、正しい方向に進むためにはあのポジションをしっかりと考えなければならないことも理解している。ここは遠回しに話していたもしょうがない。」

ブルズがポイントガードのポジションで答えを見出すには、この2つのシナリオが想定される。

  1. 7位でポイントガードを指名し(ESPNはブルズはノースカロライナ大学のポイントガード、コービー・ホワイトを指名すると予想している)、$23Mのキャップスペースはベンチ補強に回す。
  2. $13~14Mを使ってユタ・ジャズのリッキー・ルビオなどの選手を獲得。$4.8Mのミッドレベル例外条項でベンチを補強。

ホワイトのエナジーと素早いペースはブルズにとって良いフィットとなるが、彼はどちらかというコンボガードとして見られていることが多い。まだ19歳で、チームの導き方を学んでいる最中で、大学1年目で残した4.0アシスト、2.7ターンオーバーという数字にもそれが現れている。

層を厚くする:FA市場で単打を狙う

12月にホイバーグHCが解任された際に、ESPNのザック・ロウ記者は彼が成功するためのロスターをブルズフロントはちゃんと用意しなかったことを指摘している。

ドラフトでの失敗(デンゼル・ヴァレンタイン)、トレードでの失敗(キャメロン・ペイン)、FAでの失敗(ラジョン・ロンド、ドウェイン・ウェイド、ジャバリ・パーカー)の影響で、ベンチは常にひっくり返された状態だった。残されたセカンドユニット、クリスティアーノ・フェリシオ、シャキール・ハリソン、ヴァレンタイン、チャンドラー・ハッチソン、ウォルター・レモンJr.、アントニオ・ブレイクニーは、どちらかというとGリーグのウィンディシティ・ブルズのロスターを見ているような気分になる。

ブルズが成長するためには、いくつかの要素を検討する必要がある:

  • 勝つことを知っていて、複数のポジションをこなせるベテランを狙う
  • 記者会見が話題になりそうな動きは狙わない(ウェイド&ロンド2017、パーカー2018)
  • ウェイン・セルデン、ライアン・アーチディアコノ、ロペスとの再契約を模索
  • ダンのベンチ起用

ポーターを除くと、今のロスターでプレイオフ経験がある選手はいない。こんな若いチームには、オールスター休暇後も意味のある試合に出場したことのあるベテラン選手が必要だ。

夏のサラリーキャップ分析

選手 2019-20 サラリー
1. オットー・ポーターJr. $27,250,575
2. ザック・ラヴィーン $19,500,000
3. クリスティアーノ・フェリシオ $8,156,500
4. クリス・ダン $5,348,007
5. ラウリ・マルッカネン $5,300,400
6. ウェンデル・カーターJr. $5,201,400
7. デンゼル・ヴァレンタイン $3,496,160
8. チャンドラー・ハッチソン $2,332,320
9. アントニオ・ブレイクニー $1,588,231
10. シャキール・ハリソン (未保証) $1,588,231
11. ウォルター・レモンJr. (未保証) $1,588,231
12. 1位指名権 (予定サラリー) $5,300,400
13. ロビン・ロペス1 (FAホールド) $21,536,625
14. ティモテイ・ルワウ・キャバロ2 (FAホールド) $2,529,684
15. ウェイン・セルデン3 (FAホールド) $1,931,189
16. ライアン・アーチディアコノ3 (FAホールド) $1,818,486
17. ジャカール・サンプソン5 (FAホールド) $1,618,486
18. ロール・アルキンズ4 (FAホールド) $1,443,842
19. ブランドン・サンプソン4 (FAホールド) $1,443,842
合計 $119 million
サラリーキャップ $109 million
1. Bird
2. Fourth-year restriction
3. Restricted early-Bird
4. Restricted non-Bird
5. Non-Bird

ジャバリ・パーカーの実験が失敗に終わってから1年、ブルズはトレード期限でポーターを獲得し、少し早めのフリーエージェンシーに突入した。ポーターを獲得したということは、7月に最大限のキャップスペースを持つのではなく、再建を早めてくれる実績のある選手を獲得するという道を、ブルズフロントが選んだということだ。

ポーターの$27.25Mのサラリーを受け入れたブルズは、FAやトレードで使用できる残額が$18.6M。これは1位指名のサラリーと、セルデンとアーチディアコノ以外のFA選手の権利を放棄した場合の数字だ。セルデンとアーチディアコノと再契約せず、未保証であるハリソンとレモンの契約がウェイブされた場合、この額は$23.7Mまで上昇する。

さらに、ブルズはキャップスペースを使用したあとに、$4.8Mのミッドレベル例外条項も使用できる。

想定されるブルズの選手層

PG SG SF PF C
K.ダン Z.ラヴィーン O.ポーター L.マルッカネン W.カーターJr.
S.ハリソン (NG) C.ハッチソン D.ヴァレンタイン C.フェリシオ
W.レモン (NG) A.ブレイクニー
NG = 未保証

注目すべき日程

  • セルデンとアーチディアコノにクオリファイング・オファーが出せる期限は6月30日。
  • セルデンは3か月で43試合に出場し、キャリア最多となる出場時間平均22.9分を記録。13試合に先発出場している。おそらくブルズは1年$1.9Mのオファーを出すだろう。1年前までは2ウェイ選手だったアーチディアコノは、昨シーズン25試合に先発出場。セルデン同様、彼にもおそらく$1.8Mのオファーが提示されるはずだ。ブルズにとって両選手にクオリファイング・オファーを出すことにリスクは無く、選手の承諾なく7月13日までにオファーを取り下げることもできる。
  • 8月15日になると、ハリソンの$1.6Mのサラリーのうち$175,000が保証される。おそらくハリソンはロスターに残り、トレーニングキャンプで最終ロスター枠を獲得するために頑張るだろう。
  • レモンの$1.6Mの契約は未保証で、いつ切ってもペナルティは無い。

制限と延長契約

  • ラヴィーンのトレード制限は7月8日になくなる。それまでは、どんなトレードもラヴィーンが許諾する必要があり、サクラメント・キングスにはトレードできない(ブルズがキングスの$78Mのオファーシートにマッチしたため)。
  • ダン、フェリシオ、ヴァレンタイン、ポーター(8月6日)の契約が延長可能。おそらく延長契約に関してブルズは大人しいだろう。

ドラフト候補

3年連続で、ブルズは6月にチームの礎となってくれる選手を探り当てることとなる。ロスター作りに関して多くの批判を受けているブルズフロントではあるが、ドラフトで指名したマルッカネンがカーターは、ブルズにとって将来を見据えた先発パワーフォワードとセンターになっていると言っていいだろう。

ESPNのジョナタン・ギヴォニーとマイク・シュミッツは、ブルズのドラフトを以下の様に予想している:

  • 7位:コービー・ホワイト|PG|ノースカロライナ大学
  • 38位(MEM経由):ジェイレン・マクダニエルズ|SF/PF|サンディエゴステイト大学

ブルズは来年以降の1巡目指名権は全て保持している(トレードで出していない)。

元記事:Next moves for the Bulls: Point guard and draft questions by Bobby Marks/ESPN.com

1コメント

  1. カーターに期待 マルッカネンにも期待カーターにバトラー戻ってきたら最高 強くなれブルズ

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