その他

トム・シボドーのロングインタビュー

このエントリーをはてなブックマークに追加    Pocket

トム・シボドーのロングインタビュー

Grantlandというアメリカの有名なスポーツコラムニストであるビル・シモンズ氏が立ち上げたスポーツとポップ・カルチャーを取り上げるコラムサイトがあるのですが、そこにトム・シボドーとのロングインタビューが掲載されていたので全文翻訳してみました。

このサイトのバスケ担当であるザック・ロウ氏はもの凄い知識と分析でいつも興味深いコラムを書いている方で、とても勉強になるんですよね。そんな彼が我らがシボドーHCとインタビューということで歓喜してしまいました。色々とつっこんで聞いてくれているのでとても面白かった。

以下インタビュー記事翻訳

ラスベガスで行われるサマーリーグ第1戦を見るために試合が始まる90分前に会場入りした時、既にコートサイドにはトム・シボドーが座っていた。彼クラスのNBA関係者では文句なく一番乗りだ。しかし決して驚くような事ではない。シボドーは伝説に残りそうなほどのバスケットボール・ジャンキーであり、NBAのヘッドコーチとして就任から3年で最も成功した内の1人。ボストン・セルティックスを2008年の優勝に導いたディフェンスシステムを築き上げるのに大きく貢献しており、今では多くのチームによって採用されている。そして選手達をうまくのせて、常に全力を出させる事が出来たのが、昨シーズン怪我まみれだったシカゴが勝ち続ける事が出来た大きな要因だ。デリック・ローズが完全復帰を期待される新シーズンでブルズは東カンファレンストップに君臨するマイアミをひきずりおろすミッションを続行する。

シボドーはGrantlandとの長期インタビューに応じてくれ、ブルズについて色々な事を話してくれたが、シボドー自身の事になると口を閉ざした。

コーチとして、プレイオフ中に自分のチームがこれだけ多くの離脱者を、ジョアキム・ノアが足を引きずりながら歩いていたりルオル・デンが病院にいたり、出しながらも成功し続けている事実を冷静に見て喜ぶ事はできるものですか?全体像を見て満足感を得られるものなのか、それともやはりその時行われている試合以外の事を考えるのは難しいことなのでしょうか?

そういう風に見る事はないね。どんな状況でも、自分のチームについて新たに知る事が出来るチャンス、そして成長出来るチャンスとして見ている。怪我は全員にとってバスケというゲームの一部なんだ。そういった状況を乗り切るためにベストを尽くすしかない。今年多くの選手が離脱した代わりに、ジミー・バトラーの成長があり、ジョアキムの一歩前進があり、ルオルはまたもや素晴らしいシーズンを提供してくれ、カルロス(ブーザー)もとても良かった。そして(カーク)ハインリックは素晴らしかった。そうやって見るんだ。来年ももう少し健康体で入れる事を願う。

ジョアキムの一歩前進というのは具体的にどのあたりですか?

オフェンス面でとても良くなっていた。まだまだ先は長いし、これからも成長する余地はあると思っている。しかしオールラウンドに、特にパスがね、ハインリックが離脱した際に彼を通してオフェンスを回す必要性が出る程だったのだが彼はそれをとてもうまくやってくれた。彼のチームディフェンスはこれまでも素晴らしかったのだが、個人レベルでのディフェンスもとても良くなり始めていると思う。

彼の個人レベルのディフェンスというのは具体的にどのように良くなっているのでしょうか?あなたがここに言及する事に多くの人が驚くと思います。

力をつけた事によりローポストでのディフェンスが格段に良くなっている。それが一番大きなステップだった。

来シーズンに向けて彼は休養する以外に何かしないといけない事はあるのでしょうか?

そうだね、休養だ。そして成長し続けること。彼にはまだ満足してもらいたくない。彼にとって素晴らしいシーズンだったが、もっと出来ると私は思っている。とにかく一番重要なのは足底筋膜炎を落ち着かせることだ。それはもうやっている。そこからは更に自身のスキルを増やしていくことだ。毎年あらゆる状況から学ぶようにする。彼はそういう風に見ている。彼の取り組みは我々にとって非常に重要だ。

新シーズンではジミー・バトラーが先発SGという認識でよろしいですか?

そうだね。昨年は凄い成長を見せてくれたが、ルーキーイヤーの終盤からそれは始まっていたと思う。毎日ジムに着てワークアウトし、サマーリーグで素晴らしい結果を残し、8月にはまたジムにすぐ戻っていた。シーズンが進むにつれどんどん良くなっていった。

ブルズに就任したから色んなシューティングガードを起用していますよね。それぞれが何かにとても長けていたが、攻守共に活躍出来る選手ではなかった。カイル・コーバーは素晴らしいシューターで、個人的にはディフェンダーとしても過小評価されていると思うのですが、絶対的なストッパーではなかった。ロニー・ブリュワーはストッパーだったがシュートできなかった。リップ(ハミルトン)やキース・ボーガンズも試してみた。ジミーはやっと見つけた答えなのでしょうか?

そう願っている。彼には成長し続けてもらいたい。彼は攻守ともにプレイ出来るのだが、シュート力向上にとても力を入れている。そしてそこが格段に良くなった。彼のディフェンスは元からとてもとても良かった。彼はオールラウンドプレイヤーで勝つ為にプレイをする。ディフェンスとリバウンドが必要ならそれをやってくれる。もう少し得点力が必要だなってなればそれもやってくれる。1から4(PGからPF)までを相手に守備が出来、どのポジションでも良い守備を見せてくれる。

ジョアキム・ノアが今どの国にいるか把握していますか?

いや全然(笑)。彼は今世界ツアー中なんだ。でも彼はしっかりと体調を整えるし、常にハードワークしている事もわかっている。何度かシカゴを訪れるだろうからその時に捕まえるよ。でも彼はよくやっている。

彼と最低限連絡のとれるEメールアドレスみたいなものはあるんですか?返信してくれますか?

ああ、あるよあるよ。連絡はとれる。もっと連絡とりやすくして欲しいって時もあるけどね。彼は色々な事に参加しているからね。体を鍛える事を優先してはいるが、チャリティーなんかにも沢山参加していて、色々と素晴らしい活動をしているんだ。

ロン・アダムズの代わりになれる人はもういますか?(編注:アダムズはシボドーのリードアシスタントで、リーグ内での評価も高い。ブルズが彼の契約を延長しなかったことからコーチングスタッフとフロントの間に確執があるのではと噂されている。)

いやいないよ。どうなるかね。

あなたの知っている限りでなぜチームが彼との契約を延長しなかったか教えていただけますか?

いやー、後ろは振り向かないようにしているんだ。常に前を向いていたい。今はもう来シーズンの事だけを考えている。

この一連で、あなたとガー(フォーマン、ブルズのGM)との間に噂されているほどの確執は生まれたのですか?

私たちに問題はない。来年の事に専念している。

カルロス・ブーザーは常にバッシングをうけサンドバッグ化しています。確かにジョアキムやタージ・ギブソンに守備では劣っています。そういった批判に答えるチャンスです、なぜカルロスが必要なんですか?

カルロスはパサーとしてとても過小評価されていて、我々に取って安定したスコアラーでもある。昨シーズンはとても良かった、平均16得点そして10近いリバウンド。しかし彼のパス能力が見落とされがちだ。誰かが切り込んでオープンになったら確実にボールが回ってくる。我々は彼がこのチームにとってどれほど重要か理解しているよ。

コート上でいっつも叫んでいる事にイライラしたりしないですか?テレビを見てるともう常に「GIMME DAT!!(よこせ!)」や「GET DAT, JOE!(ジョーそれ取れ!)」が聞こえてくる。たまにテレビをミュートしないといけないくらいです。

彼がそれによって良いプレイが出来るなら私は何でも受け入れるよ。静かにプレイし、それが上手くいく選手もいる。うるさくて沢山喋る選手もいる。それも良いさ。とにかく仕事をやってくれればね。

喋ると言えば、昨シーズン序盤にブルズがブルックリンに来た時にマルコ・ベリネリと話した事を思い出しました。ブルズでプレイしている事をとても楽しんでいたようですが、あなたのディフェンスシステムを習得するのに苦労している事に驚いていたようです。それはフリーエージェントと契約する時に懸念するポイントですか?マイク・ダンリービーJr.はとても良い奴ですが、彼はシステムにすぐ馴染めると思いますか?

マルコの場合最初の20試合くらいは明らかに適応するための調整だった。しかしシーズン中盤にはもうしっかりとはまってくれていたと思う。とても良く馴染んでくれた。シーズンを通して全体的にとても良かった。どの選手も違いはあるけど1年目っていうのはどうしても適応するための期間が生まれる。しかし他のチームも同じだと思うよ、1年目選手にとって最も高いハードルはチームメイトを理解し、システムを学ぶ事なんだ。

ここべガスで他のGMやフロントの人間と話していたら、新しいCBA(団体協約)の影響で新規契約が例年より短くなっている事を多くの方が指摘していました。多くの選手が1,2年契約を結び、毎年夏に違うチームに移り変わっていると。もしかしたらコーチ達はこの動きを理解し選手達がすぐ馴染めるようなシステムにすべきなのではないかと多くの方達が考え始めていました。これは懸念点ですか?それともあなたのチームはあなたが就任してからの3年間在籍し続けている選手が多い事から例外になるのでしょうか?

自分と共に在籍し続けているコアの選手達がある程度いるとね、サンアントニオなんかが良い例だと思う。彼らは長い間チームのコアとなる選手はかわっていない。我々のチームもそこに近づき始めていると思う。そう言った選手達はシステムをもう熟知している。8-10人くらい余計にコーチがいるようなものなんだ。新しい選手がシステムを学ぶのを助けてくれるおかげで色々とスピードアップできる。多くの選手が初めてで、全員が新しい事を学ぼうとしているような状況ではもちろんもっと時間がかかる。しかしチームのコアとなる選手が一緒なら、新加入の選手をシステムに取り入れるのも速くなるんだ。

サマーリーグでプレイしているマーキス・ティーグについてはどう思っていますか?フルタイムで控えのポイントガードになれる準備は出来ていると感じますか?

彼は良い出来だね。昨年よりも今年はより準備がしっかりと出来ていることに感心している。シーズンが終わってからすぐ彼はジムにきてワークアウトし始めたんだ。体の調整もしっかり出来ているし、NBAの試合の理解が深まっている。とても良い仕事をしているね。これは来季に向けた第一歩だ。とても良いプレイをしているので、このままシカゴに戻って秋の練習でも良いプレイを続けることだろう。

今の質問をする時にハインリックの事を忘れ得ていました。カークごめんね。しかしローズ、ハインリック、ティーグ3人に充分な出場時間は与えられますか?

全員必要だ。シーズンはどうなるかわからないものだ。我々のロスターの良い所はとても柔軟性があることだ。ジミー、ルオル、マイク・ダンリービー、トニー・スネルの4人は2番(シューティングガード)、3番(スモールフォワード)、そして少し4番(パワーフォワード)もプレイする事が出来る。ハインリックとデリックは2人ともポイントガードと2番をプレイできる。タージとジョアキムは4番と5番(センター)を。とても柔軟性があるんだ。

それを聞いてお伺いしたい事を思い出しました。ルオルかジミーを4番に置いたスモールボールは、就任1年目にカルロスとジョアキムが両方怪我した時や、昨シーズン多くの選手が怪我していた時などのなどの緊急時に起用していましたね。それ以外の時ではなるべくコート上に2人のビッグマンを起用するようにしていた。ただこれだけやったので全員が健康な状態でもスモールボールを起用する事にもう違和感はなくなっていたりしますか?

それがジョアキムとタージの強みなんだ。相手チームが我々相手にスモールボールを起用してきた時でもビッグマンを残してリバウンドでアドバンテージを取ることが出来る。我々はそれを好んでいる。しかし確かにルオルのおかげでスモールラインナップを使うコートにもっとシュターを送り込む事も出来る。エリック・マーフィーなんかもコートを広げる事の出来るスリーポイントシューターだね。さっき言ったように、我々のチーム構成はとてもよく様々な状況で違ったラインナップを使う事が出来る。時には追いつく為にスリーポイントを打てるラインナップにしたりもする。とにかくこのロスターの多用途性をとても気に入っている。

来シーズンに向けてスリーポイントシューターが増えた事に興奮しているようですね。

ああ、我々にとって欠落していた箇所だからね。いくつかの問題を解消してくれるはずだ。シュート力がとにかく足りないっていう状況が何度かあった。新戦力がそこをしっかりと補って切り開いてくれると良いね。

メンフィスが唯一ブルズよりもスリーを打たなかったチームでした。確かあなたのチームは平均15本くらいだったかと思います。来シーズンは平均21,22本くらい打ちたいという具体的な目標数値みたいなものはありますか?

私はインサイド-アウトでプレイしたいんだ。ベストプレイヤーをどういった戦力で囲むことが出来るかが勝負だと思っている。デリック、ルオル、カルロスをどのように補完出来ているか。シュート力があればあるほど、相手がダブルチームをしかけてきた時に報いる事が出来る。スリーは好きだが、正しいスリーを打てている事が大事なんだ。

シーズンが終わり、デリックが開幕戦に出る準備は出来ていると発表したこともあるのでまた聞くべきかもしれません。昨シーズンはどの時点で彼が復帰しないとわかったのですか?

正直言うと最後までわからなかった。唯一わかっていたことは、我慢強く待ち続け彼が絶対的な自信を持って戻って来れるまで焦らせないという事を我々のオーナー(ジェリー・ラインズドルフ)が主張していたということだ。デリックは復帰するために全力を尽くしたが、コートに戻るまでは至らなかった。しかし彼は賢い選択をしたと思う。彼のプレイは多くの選手とは異なるものなんだ。とても爆発的で、行き先を瞬時にかえられるようなタイプの選手だ。この夏余計に時間を得たことで、膝の強さと自信を増すことが出来た。

あなたはクラシック音楽マニアと言われているようですね。一番好きなクラシックミュージシャンと好きな曲はなんですか?

うんうん、いやそれは答えないよ(笑)。

元記事:Q&A: Tom Thibodeau|by Zach Lowe from Grantland.com

9 Comments

  1. トモ

    「怪我は全員にとってバスケというゲームの一部なんだ」
    うーん、色々考えさせてくれますね。

    興味深いインタビュー、アップありがとうございました。

    • BFiJ

      トモさん、コメントありがとうございます。
      オフシーズンだからこそ出来るロングインタビューなので嬉しいですね。
      怪我とどう付き合っていくかっていうのもプロスポーツの難しいところですよね。

  2. Hide-Mi

    こんばんわ。お久しぶりです。
    いや〜、このインタビューを読んでるだけで、来シーズンへの期待感が増してきました。
    ブーザーをパサーとしての評価をする辺りが、自分の様な素人とは、やはり見る観点が違うなーと感じました。
    一番印象に残ったのが、“スリーは好きだが、正しいスリーを打てている事が大事なんだ”という言葉…昨シーズンのネイトに同じような事を言ってたのかな〜と勝手に思っちゃいました!

    • BFiJ

      Hide-Miさん、コメントありがとうございます。
      とても来季が楽しみになる内容ですよね。シボドー自身も新ラインナップで戦略を練るのを楽しみにしてるようなのでわくわくします。
      ブーザーはノアと共にとてもパスがうまいんですよね。インサイドのパス回しはリーグ随一なんじゃないかと思っちゃうくらいです。ぜひ来季はそこに注目してみてください!

      スリーに関しては本当そうだと思います。最近はスリーを打つのが流行みたいになっていてどのチームもガンガン打ってきますが、ブルズはあまり得意ではなかったのでおさえめでした。ここがぶれてどんどんスリーを打つような戦略だったら早々に負けがかさんでいたかもしれませんね。

  3. ろっく

    ジミー先発はもう確定ですね。
    このインタビューを見ていても、早く来季のラインナップが観たいです。
    ローズ、ジミー、デン、ブーザー、ノアにバックアップのカーク、ティーグ、ダンリービーJr、タージ、ナジー、
    そしてスネル、マーフィー、できればマルコムも。
    ネイトもベリネリもリップもいなくなりましたが、
    こうやって見ると来季も楽しみなロスターですね。

    そういえば、ネイトがデンバーに決まりましたね。
    ローソンがいるので先発はなさそうですが、
    力のあるチームなので、是非頑張って欲しいです。
    マルコもネイトも西のチームにいっちゃいましたね。

    • BFiJ

      ろっくさん、コメントありがとうございます。
      来季のラインナップ楽しみですよね。新加入選手達がどうはまってくれるか、そしてティーグがどこまで成長しているかなどが楽しみです。

      ネイトはデンバー決まりましたね。おめでとう!新天地でも頑張ってもらいたいです。

  4. komohisa

    (いつか投稿しようと思っていていましたが)この記事、とてもよかったです。インタビューアーのレベルが高いので、きちんとした答えが返ってきています。また、シボドーHCの人となりが良く出ていますね、特にこの箇所「いやー、後ろは振り向かないようにしているんだ。常に前を向いていたい。」
    なかなか言えないと思います。日本の指導者の中には、あからさまに、公の場で、結果論で、個人を批判する人もいますので、好感が持てます。
    また、別の意味で、日本でこうしたジャーナリストがいればいいなーとも思ってしまいました。

    • BFiJ

      komohisaさん、コメントありがとうございます。
      このインタビュアーは本当に素晴らしいジャーナリストなんですよね。彼がコラムを書いているサイトはいつも読むようにしています。毎回とてもとても面白い。
      日本にもこういったスポーツジャーナリストやスポーツサイトが増えてくれる事を切に願っております。

Trackbacks / Pings

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

This blog is kept spam free by WP-SpamFree.